彼らは最初から「静かに退職」していたわけではない
前回の第1回では、「静かな退職(Quiet Quitting)」が決して単なる怠業やサボりではなく、職務記述書にない「裁量貢献(余白の努力)の意図的な停止」であることを解説した。
また、日本企業が長年依存してきた「無限定な心理的契約」が限界を迎えている構造的背景と、会社として看過してよいレベル・介入すべきレベルの境界線について論じた。
では、現場の社員たちはなぜ、かつて持っていた熱意を失い、「最低限の仕事しかしない」という選択をするのだろうか。
多くの経営層やマネージャーは、これを「最近の若手の意欲低下」や「リモートワークによるサボりの蔓延」といった個人の資質や環境のせいにしがちだ。しかし、実態は異なる。
静かな退職の多くは、社員が現在の組織環境から学習した「極めて合理的な自己防衛」、あるいは心身の崩壊を防ぐための「防衛機制(生存戦略)」の結果として発生している。

本連載の第2回では、静かな退職がこれほどまでに広まった「6つの構造的要因」を解き明かす。
さらに、実際に現場の社員がどのような心理的変遷を経て心を閉ざしていくのかを「6つのペルソナ(人物像)」として解剖し、彼らが再び健全な貢献を取り戻すための「5つの復活ジャーニー」を提示する。

